感覚・感情

痛みは、身体の不調を知らせてくれるシグナルである。痛みを感じることで、より危険な状態にならないように警告してくれる身体の仕組みは、実に上手くできている。
その痛みは、傷等の肉体的なものだけではなく、怒りや不安を感じているときは痛みを強く感じ、何かに集中している時には痛みを感じにくいなど、喜怒哀楽によっても影響を受けている。それは、痛みが全て脳からの指令で感じているからだ。


感覚・感情
MikeLarremore

痛み止めの役割

誰でも痛いのは嫌なものだ。だからといって、すぐに痛みを止めるのは危険だ。先にも書いたように、痛みは、身体の不調を知らせてくれるシグナルである。そのシグナルを無視して痛みを感じなくしてしまうことは、その奥に潜んでいる不調を悪化させることになりかねない。

例えば胃腸が痛いとき、副交感神経が優位に働いており、その刺激により痙攣が生じている。副交感神経は胃液分泌の亢進にも働くため、食事時に正常に働いていれば消化を助けてくれるのだが、ストレスなどにより交感神経優位な状態が続くと、バランスをとるために副交感神経が過剰に反応し、このようなことが起こるのではないかと考えられる。つまり、胃腸の痛みを治めるには、自律神経を本来の状態に戻すことが大切なのだ。
しかし、胃腸が痛いときに処方される「胃腸鎮痛鎮痙薬」は、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることで、刺激を減らし痛みを鎮める。これではますます自律神経のバランスが崩れてしまい、一時的には痛みが治まっても、薬が切れるとまた痛みを引き起こしてしまう。しかも、この副交感神経の働きを抑える作用は消化管にのみ限定して働くわけではない。他の器官への副作用が伴うというのだ。

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風邪薬の副作用!眠気だけじゃない!こんな症状は要注意!

頭痛や歯痛、喉の痛みや関節痛、神経痛、筋肉痛、打撲や骨折、月経痛など、様々な痛みに使用されているのが「解熱鎮痛薬」だ。解熱鎮痛薬とは病気や外傷が原因で生じている発熱や痛みを緩和する医薬品の総称で、発熱や痛みの原因となっている病気や外傷を治すものではない。異常を知らせる為に痛みの感覚を強めているプロスタグランジンという体内物質の生産を抑えているのだ。そうすることにより確かに痛みは緩和されるので、時と場合によっては必要なときはあるかもしれない。
しかし、プロスタグランジンを抑制することで、副作用として肝機能障害や腎障害を生じる可能性があることが分かっている。また胃粘膜障害を起こしやすくなるとも言われている。科学的に合成された成分によって、アナフィラキシーショックや喘息を引き起こしたり、中毒性表皮壊死融解症や皮膚粘膜眼症候群などが生じることもある。

痛み止めを使用する際にはそれらのリスクが伴うこともよく理解した上で、それでも必要かを考えて欲しい。これは、様々な薬の副作用に苦しんできた僕だからこそ言えることでもある。

感覚・感情を大事にする

「痛みなど無くなってしまえばいいのに」と感じたことがある人は多いだろう。しかし、痛みは肉体的な感覚であれ、精神的な感情であれ、我々になくてはならないものだ。

先天性無痛症という病気を知っているだろうか。症状のレベルには個人差があるが、痛みや熱さ、冷たさの感覚が感じられないのだ。感覚が無い故、知らぬ間に自分の舌を噛み切ってしまったり、誤って大火傷などをしてしまう恐れがある。また、先天的な症状であるためそれらの危険を学習することが難しく、知的障害を併発することも多いそうだ。ゆえに感情にも歪みが生じることもある。

感覚・感情を大事にする

痛みに焦点を当てて話したが、痛みだけでなくどの感覚・感情もそれぞれの役割があって感じるようにできている。そのどれもが無くてはならない大切なものなのだ。その感覚・感情を無視し続けると、いづれ自分の感覚や感情に鈍くなり、大切なことを見落としたまま人生を送ることになるかもしれない。健康とは、肉体、精神が病気に侵されていない状態を指すのではない。

自分の感覚・感情を受け容れ、自分の状態を直視できてこそ、
自分軸の人生を歩むことができるのだ。