外食事業部へ異動

行政書士の受験にことごとく失敗し、会社を辞めることも出来ないまま日々が過ぎていく中、上長から辞令を渡された。

なんと、新規事業への異動辞令だった。
アパレル事業の中でずっと働いてきた僕は、いきなり外食産業という、未知の世界へ放り出されることになったのだ。

現状に閉塞感を抱いていた僕にとって、この異動は新鮮な風を送り込んで来た。

1年間で全国100店舗のうどん屋の展開を目指す。
これが外食事業部のミッションだった。

時流に乗っていたし、面白さも感じた。
やりがいある仕事を与えられたと思った。

が、それは最初の数日だけのこと。
あとは必死に自分を説得して無理矢理納得させたのが実情。

夢を打ち砕くような日々の業務内容。
赴任以来、2ヶ月以上に渡って、一日の休みもなし。
全く経験のない職場で、誰にも頼ることが出来ない人員で
一日18時間労働という、信じられないような過酷な待遇。
異常、異常、異常。
自分の権利を主張しようとも思ったが、それを許さないような雰囲気に飲まれていく。
そして、それについて考えている暇すらないほどに次から次へと仕事が押し寄せてくる。
僕が止まると、店が回らない。
朝から晩まで一回もトイレに行かずに仕事をこなした日もあった。

気違いじみた異常な毎日を必死で生き抜いた。
が、この狂気の職場での異常なストレスは、急速に僕の心と身体を破壊した。

過呼吸がまた始まった。
バックヤードで休むことが増えた。
以前と違うのは、激しい発作ではなく、深く静かに続く疲労感。
このまま動かなくなって死ぬのではないかと思い始めた。

そして、本気で命の危険性を感じた僕は、バイトの子にお願いして、救急車を呼んでもらった。

この異常な空間から出るために。

救急車を呼ぶ