三叉神経痛

ある日の仕事中、突然右側頭部に激痛が走った。

その激痛は脳が爆発するのではないかというような痛みで、脈拍と同期していた。

気絶しそうなほどの痛みがずっと続くので、
「もしかしたらくも膜下出血ではないのか!?」
という疑いが頭をもたげた。

バックヤードでしばらく休んでいてもまるでよくならないので、命の危険を感じた僕は、パートさんに店を任せて脳神経外科のある病院に駆け込んだ。

しばらく待たされたあと、CTスキャンをしてもらった。
それだけでは原因がよくわからなかったのだろう。

別棟に案内されて、バカでかい機械で再度検査されることになった。
それはMRIだった。

三叉神経痛

ベッドに横たわり、筒の中にベッドごと突っ込まれていく。
中では時々「カンカン」という耳障りな金属音がした。

これだとかなりの精度で脳内が分かるそうだ。

で、専門医の見解はというと、
「よくわからない。」

嘘だろ。

この時点では、まだ医者は「身体の事をよく解っている専門家」だと盲信していた。
だから、「わからない」という答えはこちらの期待を裏切るもので、とても失望した。

「ただ、この三叉神経のところに傷らしきものがあります。」

三叉神経?このとき初めて知った。

センセイ曰く、三叉神経痛というのは、「人間の感じる最も酷い苦痛」なのだそうだ。

さすがは病気の専門家である。
こういうことは非常にお詳しい。

ひとまずは脳血管が破れて死んでしまうのではないか、という疑いは晴れた。

だが、この三叉神経痛、治療法がほぼ無いとのこと。

一応、外科手術で神経の圧迫を取り除いて治る例もあるそうだが、僕がこれに当てはまるとは限らないのだと。

とにかく、この病院では傷ついた神経を治すことは出来ないということで、薬も何も処方される事無く、僕は帰らされた。

治す方法が無い病気。
この類いの病にいくつ罹ったら気が済むのか。

時間がある程度経つと、発作のような激痛は勝手に治まるのだが、またいつこの超弩級の激痛に見舞われるのか、わかったものではなかった。

実際に、それから度々その耐え難い激痛は、何の前触れもなくいきなりやってきた。
台風と津波と地震が一度にやってきたような感じ。
生きた心地がしなかった。

この人類最大の激痛から逃れる為、僕はドラッグストアに走った。
すると、「神経痛に効く!」と書かれた薬を発見!!!!

それが「コンドロイチンZS」だった。

速攻で購入。
服用を開始した。

結論から言うと、確かに痛み自体は和らいだような気がした。
が、それが治ったと言えるのかどうかは、よくわからなかった。

そして、例の如く、よくわからないまま、無くなればまたドラッグストアで買う、といういつものパターンにハマった。

そして、頭痛自体が無くなる事は、当分の間、無かったのである。


CT検査(Computed Tomography:コンピューター断層撮影法)

身体にエックス線を照射し、通過したエックス線量の差をデータとして集め、コンピューターで処理することによって身体の内部を画像化する検査。

MRI検査(MRI=MagneticResonanceImaging:磁気共鳴画像診断装置)

強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査。

三叉神経痛

顔面の知覚神経である三叉神経から発信される神経痛。別名「群発頭痛」。死ぬ事は無いが死に一番近い頭痛と言われ、あまりの痛みに自殺してしまう人も出ることから「自殺病」とも呼ばれる。「きりで刺されるような」「目がえぐられるような」と表現されるように、耐えられないほどの強烈な痛みが集中して起こる。原因不明。現在、根本的な治療法は確立されていない。
ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフさんがこの病気に罹ったことで有名。