帰還兵のごとく

全てが破綻し、実家に戻った僕は、さっきまで殺し合いをしていた戦場の兵士が生きるか死ぬかのギリギリのところで脱出し、九死に一生を得たような状態だった。

憔悴し切っていた。

季節は真冬。
実家のリビングのこたつの中で激しく震えていた。
寒いのではない。
極度の恐慌(パニック)状態だったのだ。
絶え間なく精神的、肉体的苦痛が襲ってくる。

鉄格子のはめられた精神病院に入院しなければいけないほどのレベルだった。

ベトナム戦争や湾岸戦争の従軍兵が、戦場での体験がトラウマになって、帰還したあともずっとその後遺症(PTSD)に悩まされ続けるのは、テレビや映画、本などで良く知っていたが、まさにこの時の自分がそうだった。

僕自身、自覚が無かっただけで、ずっと戦場で生きて来たのだ。
少なくとも脳はそう認識していた。

戦場では、引き金を引かなければ、自分が死ぬだけだ。
それが戦場での常識なのだ。

自分の生きてきた環境が戦場だったことに、振り返って今更ながら気付いた。
この時僕は、以前のうつとかのレベルではなかったのだ。

帰還兵のごとく