太陽の恩恵

引っ越しをした先では、一日真っ暗な部屋で、何も食べず寝て過ごすこともあった。休んでいるというよりは、何もできないという状態だ。それでも、誰からも干渉されない分、気は楽だった。

それを知った彼女は、カーテンを開けるように言った。
病気の時は部屋を暗くして安静に、というのが僕の育ってきた環境だった。

思えば、幼少の頃から、具合が悪い時にはカーテンを閉め切って一人で寝かしつけられたものだ。
20代のときも、休みの日は真っ暗な部屋でお昼過ぎまで寝ていたし、うつをこじらせていた時は一日中真っ暗闇で死体のように寝転がっていた。

肉体的な疲労同様、脳の疲労も寝てれば回復すると思っていたのだ。
が、それは大きな間違いだったようだ。

それは、身体の仕組み、というか脳の仕組みを知らない無知から来る「安静」であって、実際のところ、太陽の光を浴びないことで、身体はどんどん弱ってくるのだ。

脳内で非常に重要な役割を果たす脳内伝達物質(ニューロトランスミッター)のセロトニンの生成と太陽の光を浴びた時間に相関関係があったのだ。

疲労回復の常識が間違っていたのだ。

太陽の恩恵

太陽の光をしっかりと浴びる生活を始めて、僕の生活のリズムは次第に調ってきた。

夜中の2時3時まで起きていることは少なくなり、昼まで寝て過ごすことも少なくなった。
布団から出て少しずつ活動するようになっていったのである。